日語閱讀:追憶(三)
二六 いじめっ子
幼稚園にはいっていた僕はほとんど誰(だれ)にもいじめられなかった。もっとも本間(ほんま)の徳ちゃんにはたびたび泣かされたものである。しかしそれは喧嘩(けんか)の上だった。したがって僕も三度に一度は徳ちゃんを泣かせた記憶を持っている。徳ちゃんは確か総武鉄道の社長か何かの次男に生まれた、負けぬ気の強い餓鬼大將だった。
しかし小學校へはいるが早いか僕はたちまち世間に多い「いじめっ子」というものにめぐり合った。「いじめっ子」は杉浦譽四郎である。これは僕の隣席にいたから何か口実を拵(こしら)えてはたびたび僕をつねったりした。おまけに杉浦の家の前を通ると狼(おおかみ)に似た犬をけしかけたりもした。(これは今日考えてみれば Greyhound という犬だったであろう)僕はこの犬に追いつめられたあげく、とうとうある畳屋の店へ飛び上がってしまったのを覚えている。
僕は今漫然と「いじめっ子」の心理を考えている。あれは少年に現(xiàn)われたサアド型性欲ではないであろうか? 杉浦は僕のクラスの中でも最も白(はくせき)の少年だった。のみならずある名高い富豪の妾腹にできた少年だった。
二七 畫
僕は幼稚園にはいっていたころには海軍將校になるつもりだった。が、小學校へはいったころからいつか畫家志願に変っていた。僕の叔母(おば)は狩野勝玉(かのうしょうぎょく)という芳崖(ほうがい)の乙弟子(おとでし)に縁づいていた。僕の叔父(おじ)もまた裁判官だった雨谷(うこく)に南畫を?qū)Wんでいた。しかし僕のなりたかったのはナポレオンの肖像だのライオンだのを描(か)く洋畫家だった。
僕が當時買い集めた西洋名畫の寫真版はいまだに何枚か殘っている。僕は近ごろ何かのついでにそれらの寫真版に目を通した。するとそれらの一枚は、樹下に金髪の美人を立たせたウイスキイの會社の広告畫だった。
二八 水泳
僕の水泳を習ったのは日本水泳協(xié)會だった。水泳協(xié)會に通ったのは作家の中では僕ばかりではない。永井荷風(ながいかふう)氏や谷崎(たにざき)潤一郎氏もやはりそこへ通ったはずである。當時は水泳協(xié)會も蘆(あし)の茂った中洲(なかず)から安田の屋敷前へ移っていた。僕はそこへ二、三人の同級の友達と通って行った。清水昌彥(しみずまさひこ)もその一人だった。
「僕は誰(だれ)にもわかるまいと思って水の中でウンコをしたら、すぐに浮いたんでびっくりしてしまった。ウンコは水よりも軽いもんなんだね」
こういうことを話した清水も海軍將校になったのち、一昨年(おととし)(大正十三年)の春に故人になった。僕はその二、三週間前に転地先の三島からよこした清水の手紙を覚えている。
「これは僕の君に上げる最後の手紙になるだろうと思う。僕は喉頭(こうとう)結(jié)核の上に腸結(jié)核も併発している。妻は僕と同じ病気に罹(かか)り僕よりも先に死んでしまった。あとには今年(ことし)五つになる女の子が一人殘っている。……まずは生前のご挨拶(あいさつ)まで」
僕は返事のペンを執(zhí)りながら、春寒(はるさむ)の三島の海を思い、なんとかいう発句を書いたりした。今はもう発句は覚えていない。しかし「喉頭結(jié)核でも絶望するには當たらぬ」などという気休めを並べたことだけはいまだにはっきりと覚えている。
二九 體刑
僕の小學校にいたころには體刑も決して珍しくはなかった。それも橫顔を張りつけるくらいではない。胸ぐらをとって小突きまわしたり、床の上へ突き倒したりしたものである。僕も一度は擲(なぐ)られた上、習字のお雙紙をさし上げたまま、半時間も立たされていたことがあった。こういう時に擲られるのは格別痛みを感ずるものではない。しかし、大勢の生徒の前に立たされているのはせつないものである。僕はいつかイタリアのファッショは社會主義にヒマシユを飲ませ、腹下しを起こさせるという話を聞き、たちまち薄汚(うすぎたな)いベンチの上に立った僕自身の姿を思い出したりした。のみならずファッショの刑罰もあるいは存外當人には殘酷ではないかと考えたりした。
三〇 大水
僕は大水にもたびたび出合った。が、幸いどの大水も床の上へ來たことは一度もなかった。僕は母や伯母(おば)などが濁り水の中に二尺指(にしゃくざ)しを立てて、一分(いちぶ)殖(ふ)えたの二分殖えたのと騒いでいたのを覚えている。それから夜は目を覚(さ)ますと、絶えずどこかの半鐘が鳴りつづけていたのを覚えている。
三一 答案
確か小學校の二、三年生のころ、僕らの先生は僕らの機に耳の青い藁半紙(わらばんし)を配り、それへ「かわいと思うもの」と「美しいと思うもの」とを書けと言った。僕は象を「かわいと思うもの」にし、雲(yún)を「美しいと思うもの」にした。それは僕には真実だった。が、僕の答案はあいにく先生には気に入らなかった。
「雲(yún)などはどこが美しい? 象もただ大きいばかりじゃないか?」
先生はこうたしなめたのち、僕の答案へ×印をつけた。
三二 加藤清正
加藤清正(かとうきよまさ)は相生町(あいおいちょう)二丁目の橫町に住んでいた。と言ってももちろん鎧武者(よろいむしゃ)ではない。ごく小さい桶屋(おけや)だった。しかし主人は標札によれば、加藤清正に違いなかった。のみならずまだ新しい紺暖簾(こんのれん)の紋も蛇(じゃ)の目(め)だった。僕らは時々この店へ主人の清正を覗(のぞ)きに行った。清正は短い顋髯(あごひげ)を生(は)やし、金槌(かなづち)や鉋(かんな)を使っていた。けれども何か僕らには偉そうに思われてしかたがなかった。
三三 七不思議
そのころはどの家もランプだった。したがってどの町も薄暗かった。こういう町は明治とは言い條、まだ「本所(ほんじょ)の七不思議」とは全然縁のないわけではなかった。現(xiàn)に僕は夜學の帰りに元町通りを歩きながら、お竹倉の藪(やぶ)の向こうの莫迦囃(ばかばや)しを聞いたのを覚えている。それは石原か橫網(wǎng)かにお祭りのあった囃しだったかもしれない。しかし僕は二百年來の貍(たぬき)の莫迦囃しではないかと思い、一刻も早く家へ帰るようにせっせと足を早めたものだった。
三四 動員令
僕は例の夜學の帰りに本所(ほんじょ)警察署の前を通った。警察署の前にはいつもと変わり、高張り提燈(ぢょうちん)が一対ともしてあった。僕は妙に思いながら、父や母にそのことを話した。が、誰(だれ)も驚かなかった。それは僕の留守(るす)の間に「動員令発せらる」という號外が家(うち)にも來ていたからだった。僕はもちろん日露戦役に関するいろいろの小事件を記憶している。が、この一対の高張り提燈ほど鮮(あざや)かに覚えているものはない。いや、僕は今日でも高張り提燈を見るたびに婚禮や何かを想像するよりもまず戦爭を思い出すのである。[1][2][3][4]
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