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日語(yǔ)閱讀:銀河鉄道の夜(9)

  九、ジョバンニの切符(きっぷ)

  「もうここらは白鳥(niǎo)區(qū)のおしまいです。ごらんなさい。あれが名高いアルビレオの観測(cè)所です?!?/p>

  窓の外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物が四棟(むね)ばかり立って、その一つの平屋根の上に、眼(め)もさめるような、青寶玉(サファイア)と黃玉(トパース)の大きな二つのすきとおった球が、輪になってしずかにくるくるとまわっていました。黃いろのがだんだん向うへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進(jìn)んで來(lái)、間もなく二つのはじは、重なり合って、きれいな緑いろの両面凸(とつ)レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみ出して、とうとう青いのは、すっかりトパースの正面に來(lái)ましたので、緑の中心と黃いろな明るい環(huán)(わ)とができました。それがまただんだん橫へ外(そ)れて、前のレンズの形を逆に繰(く)り返し、とうとうすっとはなれて、サファイアは向うへめぐり、黃いろのはこっちへ進(jìn)み、また丁度さっきのような風(fēng)になりました。銀河の、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測(cè)候所が、睡(ねむ)っているように、しずかによこたわったのです。

  「あれは、水の速さをはかる器械です。水も……。」鳥(niǎo)捕(とりと)りが云いかけたとき、

  「切符を拝見(jiàn)いたします。」三人の席の橫に、赤い帽子(ぼうし)をかぶったせいの高い車掌(しゃしょう)が、いつかまっすぐに立っていて云いました。鳥(niǎo)捕りは、だまってかくしから、小さな紙きれを出しました。車掌はちょっと見(jiàn)て、すぐ眼をそらして、(あなた方のは?)というように、指をうごかしながら、手をジョバンニたちの方へ出しました。

  「さあ、」ジョバンニは困って、もじもじしていましたら、カムパネルラは、わけもないという風(fēng)で、小さな鼠(ねずみ)いろの切符を出しました。ジョバンニは、すっかりあわててしまって、もしか上著のポケットにでも、入っていたかとおもいながら、手を入れて見(jiàn)ましたら、何か大きな畳(たた)んだ紙きれにあたりました。こんなもの入っていたろうかと思って、急いで出してみましたら、それは四つに折ったはがきぐらいの大きさの緑いろの紙でした。車掌が手を出しているもんですから何でも構(gòu)わない、やっちまえと思って渡しましたら、車掌はまっすぐに立ち直って叮寧(ていねい)にそれを開(kāi)いて見(jiàn)ていました。そして読みながら上著のぼたんやなんかしきりに直したりしていましたし燈臺(tái)看守も下からそれを熱心にのぞいていましたから、ジョバンニはたしかにあれは証明書か何かだったと考えて少し胸が熱くなるような気がしました。

  「これは三次空間の方からお持ちになったのですか。」車掌がたずねました。

  「何だかわかりません?!工猡Υ笳煞颍à坤い袱绀Δ郑─坤劝残膜筏胜楗弗绁啸螗摔悉饯盲沥蛞?jiàn)あげてくつくつ笑いました。

  「よろしゅうございます。南十字(サウザンクロス)へ著きますのは、次の第三時(shí)ころになります?!管囌皮霞垽颔弗绁啸螗摔硕嗓筏葡颏Δ匦肖蓼筏俊?/p>

  カムパネルラは、その紙切れが何だったか待ち兼ねたというように急いでのぞきこみました。ジョバンニも全く早く見(jiàn)たかったのです。ところがそれはいちめん黒い唐草(からくさ)のような模様の中に、おかしな十ばかりの字を印刷したものでだまって見(jiàn)ていると何だかその中へ吸い込(こ)まれてしまうような気がするのでした。すると鳥(niǎo)捕りが橫からちらっとそれを見(jiàn)てあわてたように云いました。

  「おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符だ。天上どこじゃない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれぁ、なるほど、こんな不完全な幻想(げんそう)第四次の銀河鉄道なんか、どこまででも行ける筈(はず)でさあ、あなた方大したもんですね。」

  「何だかわかりません。」ジョバンニが赤くなって答えながらそれを又(また)畳んでかくしに入れました。そしてきまりが悪いのでカムパネルラと二人、また窓の外をながめていましたが、その鳥(niǎo)捕りの時(shí)々大したもんだというようにちらちらこっちを見(jiàn)ているのがぼんやりわかりました。

  「もうじき鷲(わし)の停車場(chǎng)だよ?!攻啷靴庭毳椁颏Π钉巍⑷膜胜椁螭佬·丹是啶袱恧と菢?biāo)と地図とを見(jiàn)較(みくら)べて云いました。

  ジョバンニはなんだかわけもわからずににわかにとなりの鳥(niǎo)捕りが気の毒でたまらなくなりました。鷺(さぎ)をつかまえてせいせいしたとよろこんだり、白いきれでそれをくるくる包んだり、ひとの切符をびっくりしたように橫目で見(jiàn)てあわててほめだしたり、そんなことを一一考えていると、もうその見(jiàn)ず知らずの鳥(niǎo)捕りのために、ジョバンニの持っているものでも食べるものでもなんでもやってしまいたい、もうこの人のほんとうの幸(さいわい)になるなら自分があの光る天の川の河原(かわら)に立って百年つづけて立って鳥(niǎo)をとってやってもいいというような気がして、どうしてももう黙(だま)っていられなくなりました。ほんとうにあなたのほしいものは一體何ですか、と訊(き)こうとして、それではあんまり出し抜(ぬ)けだから、どうしようかと考えて振(ふ)り返って見(jiàn)ましたら、そこにはもうあの鳥(niǎo)捕りが居ませんでした。網(wǎng)棚(あみだな)の上には白い荷物も見(jiàn)えなかったのです。また窓の外で足をふんばってそらを見(jiàn)上げて鷺を捕る支度(したく)をしているのかと思って、急いでそっちを見(jiàn)ましたが、外はいちめんのうつくしい砂子と白いすすきの波ばかり、あの鳥(niǎo)捕りの広いせなかも尖(とが)った帽子も見(jiàn)えませんでした。

  「あの人どこへ行ったろう?!攻啷靴庭毳椁猡埭螭浃辘饯υ皮盲皮い蓼筏?。

  「どこへ行ったろう。一體どこでまたあうのだろう。僕(ぼく)はどうしても少しあの人に物を言わなかったろう。」

  「ああ、僕もそう思っているよ?!?/p>

  「僕はあの人が邪魔(じゃま)なような気がしたんだ。だから僕は大へんつらい?!攻弗绁啸螗摔悉长螭蕢浃皮长蕷荬猡沥?、ほんとうにはじめてだし、こんなこと今まで云ったこともないと思いました。

  「何だか蘋果(りんご)の匂(におい)がする。僕いま蘋果のこと考えたためだろうか?!攻啷靴庭毳椁凰甲hそうにあたりを見(jiàn)まわしました。

  「ほんとうに蘋果の匂だよ。それから野茨(のいばら)の匂もする?!攻弗绁啸螗摔猡饯长椁蛞?jiàn)ましたがやっぱりそれは窓からでも入って來(lái)るらしいのでした。いま秋だから野茨の花の匂のする筈はないとジョバンニは思いました。

  そしたら俄(にわ)かにそこに、つやつやした黒い髪(かみ)の六つばかりの男の子が赤いジャケツのぼたんもかけずひどくびっくりしたような顔をしてがたがたふるえてはだしで立っていました。隣(とな)りには黒い洋服をきちんと著たせいの高い青年が一ぱいに風(fēng)に吹(ふ)かれているけやきの木のような姿勢(shì)で、男の子の手をしっかりひいて立っていました。

  「あら、ここどこでしょう。まあ、きれいだわ?!骨嗄辘韦Δ筏恧摔猡窑趣晔肖辘窝郅尾瑜い恧士蓯?ài)(かあい)らしい女の子が黒い外套(がいとう)を著て青年の腕(うで)にすがって不思議そうに窓の外を見(jiàn)ているのでした。

  「ああ、ここはランカシャイヤだ。いや、コンネクテカット州だ。いや、ああ、ぼくたちはそらへ來(lái)たのだ。わたしたちは天へ行くのです。ごらんなさい。あのしるしは天上のしるしです。もうなんにもこわいことありません。わたくしたちは神さまに召(め)されているのです?!裹\服の青年はよろこびにかがやいてその女の子に云(い)いました。けれどもなぜかまた額に深く皺(しわ)を刻んで、それに大へんつかれているらしく、無(wú)理に笑いながら男の子をジョバンニのとなりに座(すわ)らせました。

  それから女の子にやさしくカムパネルラのとなりの席を指さしました。女の子はすなおにそこへ座って、きちんと両手を組み合せました。

  「ぼくおおねえさんのとこへ行くんだよう?!寡鼟欤à长筏─堡郡肖辘文肖巫婴项啢驂浃摔筏茻襞_(tái)看守の向うの席に座ったばかりの青年に云いました。青年は何とも云えず悲しそうな顔をして、じっとその子の、ちぢれてぬれた頭を見(jiàn)ました。女の子は、いきなり両手を顔にあててしくしく泣いてしまいました。

  「お父さんやきくよねえさんはまだいろいろお仕事があるのです。けれどももうすぐあとからいらっしゃいます。それよりも、おっかさんはどんなに永く待っていらっしゃったでしょう。わたしの大事なタダシはいまどんな歌をうたっているだろう、雪の降る朝にみんなと手をつないでぐるぐるにわとこのやぶをまわってあそんでいるだろうかと考えたりほんとうに待って心配していらっしゃるんですから、早く行っておっかさんにお目にかかりましょうね?!?/p>

  「うん、だけど僕、船に乗らなけぁよかったなあ?!?/p>

  「ええ、けれど、ごらんなさい、そら、どうです、あの立派な川、ね、あすこはあの夏中、ツインクル、ツインクル、リトル、スターをうたってやすむとき、いつも窓からぼんやり白く見(jiàn)えていたでしょう。あすこですよ。ね、きれいでしょう、あんなに光っています。」

  泣いていた姉もハンケチで眼をふいて外を見(jiàn)ました。青年は教えるようにそっと姉弟にまた云いました。

  「わたしたちはもうなんにもかなしいことないのです。わたしたちはこんないいとこを旅して、じき神さまのとこへ行きます。そこならもうほんとうに明るくて匂がよくて立派な人たちでいっぱいです。そしてわたしたちの代りにボートへ乗れた人たちは、きっとみんな助けられて、心配して待っているめいめいのお父さんやお母さんや自分のお家へやら行くのです。さあ、もうじきですから元?dú)荬虺訾筏皮猡筏恧Δ郡盲菩肖蓼筏绀??!骨嗄辘夏肖巫婴韦踏欷郡瑜Δ庶\い髪をなで、みんなを慰(なぐさ)めながら、自分もだんだん顔いろがかがやいて來(lái)ました。

  「あなた方はどちらからいらっしゃったのですか。どうなすったのですか?!工丹盲螣襞_(tái)看守がやっと少しわかったように青年にたずねました。青年はかすかにわらいました。

  「いえ、氷山にぶっつかって船が沈(しず)みましてね、わたしたちはこちらのお父さんが急な用で二ヶ月前一足さきに本國(guó)へお帰りになったのであとから発(た)ったのです。私は大學(xué)へはいっていて、家庭教師にやとわれていたのです。ところがちょうど十二日目、今日か昨日(きのう)のあたりです、船が氷山にぶっつかって一ぺんに傾(かたむ)きもう沈みかけました。月のあかりはどこかぼんやりありましたが、霧(きり)が非常に深かったのです。ところがボートは左舷(さげん)の方半分はもうだめになっていましたから、とてもみんなは乗り切らないのです。もうそのうちにも船は沈みますし、私は必死となって、どうか小さな人たちを乗せて下さいと叫(さけ)びました。近くの人たちはすぐみちを開(kāi)いてそして子供たちのために祈(いの)って呉(く)れました。けれどもそこからボートまでのところにはまだまだ小さな子どもたちや親たちやなんか居て、とても押(お)しのける勇気がなかったのです。それでもわたくしはどうしてもこの方たちをお助けするのが私の義務(wù)だと思いましたから前にいる子供らを押しのけようとしました。けれどもまたそんなにして助けてあげるよりはこのまま神のお前にみんなで行く方がほんとうにこの方たちの幸福だとも思いました。それからまたその神にそむく罪はわたくしひとりでしょってぜひとも助けてあげようと思いました。けれどもどうして見(jiàn)ているとそれができないのでした。子どもらばかりボートの中へはなしてやってお母さんが狂気(きょうき)のようにキスを送りお父さんがかなしいのをじっとこらえてまっすぐに立っているなどとてももう腸(はらわた)もちぎれるようでした。そのうち船はもうずんずん沈みますから、私はもうすっかり覚悟(かくご)してこの人たち二人を抱(だ)いて、?。àΔ─伽毪坤堡细·埭Δ趣郡蓼盲拼紊颏啶韦虼盲皮い蓼筏?。誰(shuí)(たれ)が投げたかライフブイが一つ飛んで來(lái)ましたけれども滑(すべ)ってずうっと向うへ行ってしまいました。私は一生けん命で甲板(かんぱん)の格子(こうし)になったとこをはなして、三人それにしっかりとりつきました。どこからともなく〔約二字分空白〕番の聲があがりました。たちまちみんなはいろいろな國(guó)語(yǔ)で一ぺんにそれをうたいました。そのとき俄(にわ)かに大きな音がして私たちは水に落ちもう渦(うず)に入ったと思いながらしっかりこの人たちをだいてそれからぼうっとしたと思ったらもうここへ來(lái)ていたのです。この方たちのお母さんは一昨年沒(méi)(な)くなられました。ええボートはきっと助かったにちがいありません、何せよほど熟練な水夫たちが漕(こ)いですばやく船からはなれていましたから?!?/p>

  そこらから小さないのりの聲が聞えジョバンニもカムパネルラもいままで忘れていたいろいろのことをぼんやり思い出して眼(め)が熱くなりました。

 ?。àⅳ?、その大きな海はパシフィックというのではなかったろうか。その氷山の流れる北のはての海で、小さな船に乗って、風(fēng)や凍(こお)りつく潮水や、烈(はげ)しい寒さとたたかって、たれかが一生けんめいはたらいている。ぼくはそのひとにほんとうに気の毒でそしてすまないような気がする。ぼくはそのひとのさいわいのためにいったいどうしたらいいのだろう。)ジョバンニは首を垂れて、すっかりふさぎ込(こ)んでしまいました。

  「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進(jìn)む中でのできごとなら峠(とうげ)の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから?!?/p>

  燈臺(tái)守がなぐさめていました。

  「ああそうです。ただいちばんのさいわいに至るためにいろいろのかなしみもみんなおぼしめしです。」

  青年が祈るようにそう答えました。

  そしてあの姉弟(きょうだい)はもうつかれてめいめいぐったり席によりかかって睡(ねむ)っていました。さっきのあのはだしだった足にはいつか白い柔(やわ)らかな靴(くつ)をはいていたのです。

  ごとごとごとごと汽車はきらびやかな燐光(りんこう)の川の岸を進(jìn)みました。向うの方の窓を見(jiàn)ると、野原はまるで幻燈(げんとう)のようでした。百も千もの大小さまざまの三角標(biāo)、その大きなものの上には赤い點(diǎn)點(diǎn)をうった測(cè)量旗も見(jiàn)え、野原のはてはそれらがいちめん、たくさんたくさん集ってぼおっと青白い霧のよう、そこからかまたはもっと向うからかときどきさまざまの形のぼんやりした狼煙(のろし)のようなものが、かわるがわるきれいな桔梗(ききょう)いろのそらにうちあげられるのでした。じつにそのすきとおった奇麗(きれい)な風(fēng)は、ばらの匂(におい)でいっぱいでした。

  「いかがですか。こういう蘋果(りんご)はおはじめてでしょう。」向うの席の燈臺(tái)看守がいつか黃金(きん)と紅でうつくしくいろどられた大きな蘋果を落さないように両手で膝(ひざ)の上にかかえていました。

  「おや、どっから來(lái)たのですか。立派ですねえ。ここらではこんな蘋果ができるのですか。」青年はほんとうにびっくりしたらしく燈臺(tái)看守の両手にかかえられた一もりの蘋果を眼を細(xì)くしたり首をまげたりしながらわれを忘れてながめていました。

  「いや、まあおとり下さい。どうか、まあおとり下さい?!?/p>

  青年は一つとってジョバンニたちの方をちょっと見(jiàn)ました。

  「さあ、向うの坊(ぼっ)ちゃんがた。いかがですか。おとり下さい?!?/p>

  ジョバンニは坊ちゃんといわれたのですこししゃくにさわってだまっていましたがカムパネルラは

  「ありがとう、」と云いました。すると青年は自分でとって一つずつ二人に送ってよこしましたのでジョバンニも立ってありがとうと云いました。

  燈臺(tái)看守はやっと両腕(りょううで)があいたのでこんどは自分で一つずつ睡っている姉弟の膝にそっと置きました。

  「どうもありがとう。どこでできるのですか。こんな立派な蘋果は。」

  青年はつくづく見(jiàn)ながら云いました。

  「この辺ではもちろん農(nóng)業(yè)はいたしますけれども大ていひとりでにいいものができるような約束(やくそく)になって居(お)ります。農(nóng)業(yè)だってそんなに骨は折れはしません。たいてい自分の望む種子(たね)さえ播(ま)けばひとりでにどんどんできます。米だってパシフィック辺のように殻(から)もないし十倍も大きくて匂もいいのです。けれどもあなたがたのいらっしゃる方なら農(nóng)業(yè)はもうありません。蘋果だってお菓子だってかすが少しもありませんからみんなそのひとそのひとによってちがったわずかのいいかおりになって毛あなからちらけてしまうのです?!?/p>

  にわかに男の子がぱっちり眼をあいて云いました。

  「ああぼくいまお母さんの夢(mèng)(ゆめ)をみていたよ。お母さんがね立派な戸棚(とだな)や本のあるとこに居てね、ぼくの方を見(jiàn)て手をだしてにこにこにこにこわらったよ。ぼくおっかさん。りんごをひろってきてあげましょうか云ったら眼がさめちゃった。ああここさっきの汽車のなかだねえ?!?/p>

  「その蘋果(りんご)がそこにあります。このおじさんにいただいたのですよ?!骨嗄辘皮い蓼筏?。

  「ありがとうおじさん。おや、かおるねえさんまだねてるねえ、ぼくおこしてやろう。ねえさん。ごらん、りんごをもらったよ。おきてごらん?!?/p>

  姉はわらって眼をさましまぶしそうに両手を眼にあててそれから蘋果を見(jiàn)ました。男の子はまるでパイを喰(た)べるようにもうそれを喰べていました、また折角(せっかく)剝(む)いたそのきれいな皮も、くるくるコルク抜(ぬ)きのような形になって床(ゆか)へ落ちるまでの間にはすうっと、灰いろに光って蒸発してしまうのでした。

  二人はりんごを大切にポケットにしまいました。

  川下の向う岸に青く茂(しげ)った大きな林が見(jiàn)え、その枝(えだ)には熟してまっ赤に光る円い実がいっぱい、その林のまん中に高い高い三角標(biāo)が立って、森の中からはオーケストラベルやジロフォンにまじって何とも云えずきれいな音いろが、とけるように浸(し)みるように風(fēng)につれて流れて來(lái)るのでした。

  青年はぞくっとしてからだをふるうようにしました。

  だまってその譜(ふ)を聞いていると、そこらにいちめん黃いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な蝋(ろう)のような露(つゆ)が太陽(yáng)の面を擦(かす)めて行くように思われました。

  「まあ、あの烏(からす)?!攻啷靴庭毳椁韦趣胜辘韦毪群簸肖欷颗巫婴肖婴蓼筏?。

  「からすでない。みんなかささぎだ?!攻啷靴庭毳椁蓼亢螝荬胜常à筏─毪瑜Δ私肖婴蓼筏郡韦?、ジョバンニはまた思わず笑い、女の子はきまり悪そうにしました。まったく河原(かわら)の青じろいあかりの上に、黒い鳥(niǎo)がたくさんたくさんいっぱいに列になってとまってじっと川の微光(びこう)を受けているのでした。

  「かささぎですねえ、頭のうしろのとこに毛がぴんと延びてますから。」青年はとりなすように云いました。

  向うの青い森の中の三角標(biāo)はすっかり汽車の正面に來(lái)ました。そのとき汽車のずうっとうしろの方からあの聞きなれた〔約二字分空白〕番の讃美歌(さんびか)のふしが聞えてきました。よほどの人數(shù)で合唱しているらしいのでした。青年はさっと顔いろが青ざめ、たって一ぺんそっちへ行きそうにしましたが思いかえしてまた座(すわ)りました。かおる子はハンケチを顔にあててしまいました。ジョバンニまで何だか鼻が変になりました。けれどもいつともなく誰(shuí)(たれ)ともなくその歌は歌い出されだんだんはっきり強(qiáng)くなりました。思わずジョバンニもカムパネルラも一緒(いっしょ)にうたい出したのです。

  そして青い橄欖(かんらん)の森が見(jiàn)えない天の川の向うにさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまいそこから流れて來(lái)るあやしい楽器の音ももう汽車のひびきや風(fēng)の音にすり耗(へ)らされてずうっとかすかになりました。

  「あ孔雀(くじゃく)が居るよ?!?/p>

  「ええたくさん居たわ?!古巫婴长郡à蓼筏俊?/p>

  ジョバンニはその小さく小さくなっていまはもう一つの緑いろの貝ぼたんのように見(jiàn)える森の上にさっさっと青じろく時(shí)々光ってその孔雀がはねをひろげたりとじたりする光の反射を見(jiàn)ました。

  「そうだ、孔雀の聲だってさっき聞えた?!攻啷靴庭毳椁胱婴嗽疲àぃ─い蓼筏?。

  「ええ、三十疋(ぴき)ぐらいはたしかに居たわ。ハープのように聞えたのはみんな孔雀よ?!古巫婴黏à蓼筏俊%弗绁啸螗摔隙恚à摔铮─撕韦趣庠皮à氦胜筏荬筏扑激铯?/p>

  「カムパネルラ、ここからはねおりて遊んで行こうよ?!工趣长铯ゎ啢颏筏圃皮Δ趣筏郡椁い扦筏?。

  川は二つにわかれました。そのまっくらな島のまん中に高い高いやぐらが一つ組まれてその上に一人の寛(ゆる)い服を著て赤い帽子(ぼうし)をかぶった男が立っていました。そして両手に赤と青の旗をもってそらを見(jiàn)上げて信號(hào)しているのでした。ジョバンニが見(jiàn)ている間その人はしきりに赤い旗をふっていましたが俄かに赤旗をおろしてうしろにかくすようにし青い旗を高く高くあげてまるでオーケストラの指揮者のように烈(はげ)しく振(ふ)りました。すると空中にざあっと雨のような音がして何かまっくらなものがいくかたまりもいくかたまりも鉄砲丸(てっぽうだま)のように川の向うの方へ飛んで行くのでした。ジョバンニは思わず窓からからだを半分出してそっちを見(jiàn)あげました。美しい美しい桔梗(ききょう)いろのがらんとした空の下を?qū)gに何萬(wàn)という小さな鳥(niǎo)どもが幾組(いくくみ)も幾組もめいめいせわしくせわしく鳴いて通って行くのでした。

  「鳥(niǎo)が飛んで行くな?!攻弗绁啸螗摔櫎瓮猡窃皮い蓼筏俊?/p>

  「どら、」カムパネルラもそらを見(jiàn)ました。そのときあのやぐらの上のゆるい服の男は俄かに赤い旗をあげて狂気(きょうき)のようにふりうごかしました。するとぴたっと鳥(niǎo)の群は通らなくなりそれと同時(shí)にぴしゃぁんという潰(つぶ)れたような音が川下の方で起ってそれからしばらくしいんとしました。と思ったらあの赤帽の信號(hào)手がまた青い旗をふって叫(さけ)んでいたのです。

  「いまこそわたれわたり鳥(niǎo)、いまこそわたれわたり鳥(niǎo).」その聲もはっきり聞えました。それといっしょにまた幾萬(wàn)という鳥(niǎo)の群がそらをまっすぐにかけたのです。二人の顔を出しているまん中の窓からあの女の子が顔を出して美しい頬(ほほ)をかがやかせながらそらを仰(あお)ぎました。

  「まあ、この鳥(niǎo)、たくさんですわねえ、あらまあそらのきれいなこと。」女の子はジョバンニにはなしかけましたけれどもジョバンニは生意気ないやだいと思いながらだまって口をむすんでそらを見(jiàn)あげていました。女の子は小さくほっと息をしてだまって席へ戻(もど)りました。カムパネルラが気の毒そうに窓から顔を引っ込(こ)めて地図を見(jiàn)ていました。

  「あの人鳥(niǎo)へ教えてるんでしょうか?!古巫婴饯盲去啷靴庭毳椁摔郡氦亭蓼筏?。

  「わたり鳥(niǎo)へ信號(hào)してるんです。きっとどこからかのろしがあがるためでしょう。」カムパネルラが少しおぼつかなそうに答えました。そして車の中はしぃんとなりました。ジョバンニはもう頭を引っ込めたかったのですけれども明るいとこへ顔を出すのがつらかったのでだまってこらえてそのまま立って口笛(くちぶえ)を吹(ふ)いていました。

  (どうして僕(ぼく)はこんなにかなしいのだろう。僕はもっとこころもちをきれいに大きくもたなければいけない。あすこの岸のずうっと向うにまるでけむりのような小さな青い火が見(jiàn)える。あれはほんとうにしずかでつめたい。僕はあれをよく見(jiàn)てこころもちをしずめるんだ。)ジョバンニは熱(ほて)って痛いあたまを両手で押(おさ)えるようにしてそっちの方を見(jiàn)ました。(ああほんとうにどこまでもどこまでも僕といっしょに行くひとはないだろうか。カムパネルラだってあんな女の子とおもしろそうに談(はな)しているし僕はほんとうにつらいなあ。)ジョバンニの眼はまた淚(なみだ)でいっぱいになり天の川もまるで遠(yuǎn)くへ行ったようにぼんやり白く見(jiàn)えるだけでした。

  そのとき汽車はだんだん川からはなれて崖(がけ)の上を通るようになりました。向う岸もまた黒いいろの崖が川の岸を下流に下るにしたがってだんだん高くなって行くのでした。そしてちらっと大きなとうもろこしの木を見(jiàn)ました。その葉はぐるぐるに縮れ葉の下にはもう美しい緑いろの大きな苞(ほう)が赤い毛を吐(は)いて真珠のような実もちらっと見(jiàn)えたのでした。それはだんだん數(shù)を増して來(lái)てもういまは列のように崖と線路との間にならび思わずジョバンニが窓から顔を引っ込めて向う側(cè)の窓を見(jiàn)ましたときは美しいそらの野原の地平線のはてまでその大きなとうもろこしの木がほとんどいちめんに植えられてさやさや風(fēng)にゆらぎその立派なちぢれた葉のさきからはまるでひるの間にいっぱい日光を吸った金剛石(こんごうせき)のように露(つゆ)がいっぱいについて赤や緑やきらきら燃えて光っているのでした。カムパネルラが「あれとうもろこしだねえ」とジョバンニに云いましたけれどもジョバンニはどうしても気持がなおりませんでしたからただぶっきり棒に野原を見(jiàn)たまま「そうだろう?!工却黏à蓼筏?。そのとき汽車はだんだんしずかになっていくつかのシグナルとてんてつ器の燈を過(guò)ぎ小さな停車場(chǎng)にとまりました。

  その正面の青じろい時(shí)計(jì)はかっきり第二時(shí)を示しその振子(ふりこ)は風(fēng)もなくなり汽車もうごかずしずかなしずかな野原のなかにカチッカチッと正しく時(shí)を刻んで行くのでした。

  そしてまったくその振子の音のたえまを遠(yuǎn)くの遠(yuǎn)くの野原のはてから、かすかなかすかな旋律(せんりつ)が糸のように流れて來(lái)るのでした?!感率澜缃豁憳S(こうきょうがく)だわ?!箠棨窑趣辘搐趣韦瑜Δ摔长盲沥蛞?jiàn)ながらそっと云いました。全くもう車の中ではあの黒服の丈高(たけたか)い青年も誰(shuí)(たれ)もみんなやさしい夢(mèng)(ゆめ)を見(jiàn)ているのでした。

 ?。à长螭胜筏氦胜いい趣长莾Wはどうしてもっと愉快(ゆかい)になれないだろう。どうしてこんなにひとりさびしいのだろう。けれどもカムパネルラなんかあんまりひどい、僕といっしょに汽車に乗っていながらまるであんな女の子とばかり談(はな)しているんだもの。僕はほんとうにつらい。)ジョバンニはまた両手で顔を半分かくすようにして向うの窓のそとを見(jiàn)つめていました。すきとおった硝子(ガラス)のような笛が鳴って汽車はしずかに動(dòng)き出し、カムパネルラもさびしそうに星めぐりの口笛を吹きました。

  「ええ、ええ、もうこの辺はひどい高原ですから?!工Δ筏恧畏饯钦l(shuí)(たれ)かとしよりらしい人のいま眼(め)がさめたという風(fēng)ではきはき談している聲がしました。

  「とうもろこしだって棒で二尺も孔(あな)をあけておいてそこへ播(ま)かないと生えないんです?!?/p>

  「そうですか。川まではよほどありましょうかねえ、」

  「ええええ河までは二千尺から六千尺あります。もうまるでひどい峽谷(きょうこく)になっているんです。」

  そうそうここはコロラドの高原じゃなかったろうか、ジョバンニは思わずそう思いました。カムパネルラはまださびしそうにひとり口笛を吹き、女の子はまるで絹で包んだ蘋果(りんご)のような顔いろをしてジョバンニの見(jiàn)る方を見(jiàn)ているのでした。突然(とつぜん)とうもろこしがなくなって巨(おお)きな黒い野原がいっぱいにひらけました。新世界交響楽はいよいよはっきり地平線のはてから湧(わ)きそのまっ黒な野原のなかを一人のインデアンが白い鳥(niǎo)の羽根を頭につけたくさんの石を腕(うで)と胸にかざり小さな弓に矢を番(つが)えて一目散(いちもくさん)に汽車を追って來(lái)るのでした。

  「あら、インデアンですよ。インデアンですよ。ごらんなさい?!?/p>

  黒服の青年も眼をさましました。ジョバンニもカムパネルラも立ちあがりました。

  「走って來(lái)るわ、あら、走って來(lái)るわ。追いかけているんでしょう。」

  「いいえ、汽車を追ってるんじゃないんですよ。猟(りょう)をするか踴(おど)るかしてるんですよ。」青年はいまどこに居るか忘れたという風(fēng)にポケットに手を入れて立ちながら云いました。

  まったくインデアンは半分は踴っているようでした。第一かけるにしても足のふみようがもっと経済もとれ本気にもなれそうでした。にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ倒(たお)れるようになりインデアンはぴたっと立ちどまってすばやく弓を空にひきました。そこから一羽の鶴(つる)がふらふらと落ちて來(lái)てまた走り出したインデアンの大きくひろげた両手に落ちこみました。インデアンはうれしそうに立ってわらいました。そしてその鶴をもってこっちを見(jiàn)ている影(かげ)ももうどんどん小さく遠(yuǎn)くなり電しんばしらの礙子(がいし)がきらっきらっと続いて二つばかり光ってまたとうもろこしの林になってしまいました。こっち側(cè)の窓を見(jiàn)ますと汽車はほんとうに高い高い崖(がけ)の上を走っていてその谷の底には川がやっぱり幅(はば)ひろく明るく流れていたのです。

  「ええ、もうこの辺から下りです。何せこんどは一ぺんにあの水面までおりて行くんですから容易じゃありません。この傾斜(けいしゃ)があるもんですから汽車は決して向うからこっちへは來(lái)ないんです。そら、もうだんだん早くなったでしょう?!工丹盲卫先摔椁筏ぢ暏皮い蓼筏俊?/p>

  どんどんどんどん汽車は降りて行きました。崖のはじに鉄道がかかるときは川が明るく下にのぞけたのです。ジョバンニはだんだんこころもちが明るくなって來(lái)ました。汽車が小さな小屋の前を通ってその前にしょんぼりひとりの子供が立ってこっちを見(jiàn)ているときなどは思わずほうと叫びました。

  どんどんどんどん汽車は走って行きました。室中(へやじゅう)のひとたちは半分うしろの方へ倒れるようになりながら腰掛(こしかけ)にしっかりしがみついていました。ジョバンニは思わずカムパネルラとわらいました。もうそして天の川は汽車のすぐ橫手をいままでよほど激(はげ)しく流れて來(lái)たらしくときどきちらちら光ってながれているのでした。うすあかい河原(かわら)なでしこの花があちこち咲いていました。汽車はようやく落ち著いたようにゆっくりと走っていました。

  向うとこっちの岸に星のかたちとつるはしを書いた旗がたっていました。

  「あれ何の旗だろうね?!攻弗绁啸螗摔浃盲趣猡韦蛟皮い蓼筏俊?/p>

  「さあ、わからないねえ、地図にもないんだもの。鉄の舟がおいてあるねえ?!?/p>

  「ああ。」

  「橋を架(か)けるとこじゃないんでしょうか?!古巫婴皮い蓼筏俊?/p>

  「あああれ工兵の旗だねえ。架橋(かきょう)演習(xí)をしてるんだ。けれど兵隊(duì)のかたちが見(jiàn)えないねえ?!?/p>

  その時(shí)向う岸ちかくの少し下流の方で見(jiàn)えない天の川の水がぎらっと光って柱のように高くはねあがりどぉと烈(はげ)しい音がしました。

  「発破(はっぱ)だよ、発破だよ。」カムパネルラはこおどりしました。

  その柱のようになった水は見(jiàn)えなくなり大きな鮭(さけ)や鱒(ます)がきらっきらっと白く腹を光らせて空中に拋(ほう)り出されて円い輪を描いてまた水に落ちました。ジョバンニはもうはねあがりたいくらい気持が軽くなって云いました。

  「空の工兵大隊(duì)だ。どうだ、鱒やなんかがまるでこんなになってはねあげられたねえ。僕こんな愉快な旅はしたことない。いいねえ?!?/p>

  「あの鱒なら近くで見(jiàn)たらこれくらいあるねえ、たくさんさかな居るんだな、この水の中に?!?/p>

  「小さなお魚(yú)もいるんでしょうか?!古巫婴劊à悉胜罚─摔膜贽z(こ)まれて云いました。

  「居るんでしょう。大きなのが居るんだから小さいのもいるんでしょう。けれど遠(yuǎn)くだからいま小さいの見(jiàn)えなかったねえ?!攻弗绁啸螗摔悉猡Δ工盲隀C(jī)嫌(きげん)が直って面白(おもしろ)そうにわらって女の子に答えました。

  「あれきっと雙子(ふたご)のお星さまのお宮だよ?!鼓肖巫婴い胜攴櫎瓮猡颏丹筏平校à丹保─婴蓼筏?。

  右手の低い丘(おか)の上に小さな水晶(すいしょう)ででもこさえたような二つのお宮がならんで立っていました。

  「雙子のお星さまのお宮って何だい。」

  「あたし前になんべんもお母さんから聴(き)いたわ。ちゃんと小さな水晶のお宮で二つならんでいるからきっとそうだわ?!?/p>

  「はなしてごらん。雙子のお星さまが何したっての?!?/p>

  「ぼくも知ってらい。雙子のお星さまが野原へ遊びにでてからすと喧嘩(けんか)したんだろう?!?/p>

  「そうじゃないわよ。あのね、天の川の岸にね、おっかさんお話なすったわ、……」

  「それから彗星(ほうきぼし)がギーギーフーギーギーフーて云って來(lái)たねえ?!?/p>

  「いやだわたあちゃんそうじゃないわよ。それはべつの方だわ?!?/p>

  「するとあすこにいま笛(ふえ)を吹(ふ)いて居るんだろうか?!?/p>

  「いま海へ行ってらあ。」

  「いけないわよ。もう海からあがっていらっしゃったのよ?!?/p>

  「そうそう。ぼく知ってらあ、ぼくおはなししよう?!?/p>

  川の向う岸が俄(にわ)かに赤くなりました。楊(やなぎ)の木や何かもまっ黒にすかし出され見(jiàn)えない天の川の波もときどきちらちら針のように赤く光りました。まったく向う岸の野原に大きなまっ赤な火が燃されその黒いけむりは高く桔梗(ききょう)いろのつめたそうな天をも焦(こ)がしそうでした。ルビーよりも赤くすきとおりリチウムよりもうつくしく酔(よ)ったようになってその火は燃えているのでした。

  「あれは何の火だろう。あんな赤く光る火は何を燃やせばできるんだろう。」ジョバンニが云(い)いました。

  「蝎(さそり)の火だな?!攻啷靴庭毳椁郑à蓼浚┑貒恧仁驻靡筏拼黏à蓼筏?。

  「あら、蝎の火のことならあたし知ってるわ。」

  「蝎の火ってなんだい?!攻弗绁啸螗摔蓼筏俊?/p>

  「蝎がやけて死んだのよ。その火がいまでも燃えてるってあたし何べんもお父さんから聴いたわ?!?/p>

  「蝎って、蟲(chóng)だろう?!?/p>

  「ええ、蝎は蟲(chóng)よ。だけどいい蟲(chóng)だわ?!?/p>

  「蝎いい蟲(chóng)じゃないよ。僕博物館でアルコールにつけてあるの見(jiàn)た。尾にこんなかぎがあってそれで螫(さ)されると死ぬって先生が云ったよ?!?/p>

  「そうよ。だけどいい蟲(chóng)だわ、お父さん斯(こ)う云ったのよ。むかしのバルドラの野原に一ぴきの蝎がいて小さな蟲(chóng)やなんか殺してたべて生きていたんですって。するとある日いたちに見(jiàn)附(みつ)かって食べられそうになったんですって。さそりは一生けん命遁(に)げて遁げたけどとうとういたちに押(おさ)えられそうになったわ、そのときいきなり前に井戸があってその中に落ちてしまったわ、もうどうしてもあがられないでさそりは溺(おぼ)れはじめたのよ。そのときさそりは斯う云ってお祈(いの)りしたというの、

  ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉(く)れてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらん下さい。こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸(さいわい)のために私のからだをおつかい下さい。って云ったというの。そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見(jiàn)たって。いまでも燃えてるってお父さん仰(おっしゃ)ったわ。ほんとうにあの火それだわ。」

  「そうだ。見(jiàn)たまえ。そこらの三角標(biāo)はちょうどさそりの形にならんでいるよ?!?/p>

  ジョバンニはまったくその大きな火の向うに三つの三角標(biāo)がちょうどさそりの腕(うで)のようにこっちに五つの三角標(biāo)がさそりの尾やかぎのようにならんでいるのを見(jiàn)ました。そしてほんとうにそのまっ赤なうつくしいさそりの火は音なくあかるくあかるく燃えたのです。

  その火がだんだんうしろの方になるにつれてみんなは何とも云えずにぎやかなさまざまの楽の音(ね)や草花の匂(におい)のようなもの口笛や人々のざわざわ云う聲やらを聞きました。それはもうじきちかくに町か何かがあってそこにお祭でもあるというような気がするのでした。

  「ケンタウル露(つゆ)をふらせ?!工い胜辘い蓼蓼撬à亭啵─盲皮い骏弗绁啸螗摔韦趣胜辘文肖巫婴颏Δ畏櫎蛞?jiàn)ながら叫んでいました。

  ああそこにはクリスマストリイのようにまっ青な唐檜(とうひ)かもみの木がたってその中にはたくさんのたくさんの豆電燈(まめでんとう)がまるで千の蛍(ほたる)でも集ったようについていました。

  「ああ、そうだ、今夜ケンタウル祭だねえ。」

  「ああ、ここはケンタウルの村だよ?!攻啷靴庭毳椁工霸皮い蓼筏?。〔以下原稿一枚?なし〕

  「ボール投げなら僕(ぼく)決してはずさない?!?/p>

  男の子が大威張(おおいば)りで云いました。

  「もうじきサウザンクロスです。おりる支度(したく)をして下さい?!骨嗄辘撙螭胜嗽皮い蓼筏?。

  「僕も少し汽車へ乗ってるんだよ?!鼓肖巫婴皮い蓼筏?。カムパネルラのとなりの女の子はそわそわ立って支度をはじめましたけれどもやっぱりジョバンニたちとわかれたくないようなようすでした。

  「ここでおりなけぁいけないのです?!骨嗄辘悉沥盲瓤冥蚪Y(jié)んで男の子を見(jiàn)おろしながら云いました。

  「厭(いや)だい。僕もう少し汽車へ乗ってから行くんだい?!?/p>

  ジョバンニがこらえ兼ねて云いました。

  「僕たちと一緒(いっしょ)に乗って行こう。僕たちどこまでだって行ける切符(きっぷ)持ってるんだ?!?/p>

  「だけどあたしたちもうここで降りなけぁいけないのよ。ここ天上へ行くとこなんだから。」女の子がさびしそうに云いました。

  「天上へなんか行かなくたっていいじゃないか。ぼくたちここで天上よりももっといいとこをこさえなけぁいけないって僕の先生が云ったよ?!?/p>

  「だっておっ母さんも行ってらっしゃるしそれに神さまが仰(お)っしゃるんだわ?!?/p>

  「そんな神さまうその神さまだい?!?/p>

  「あなたの神さまうその神さまよ?!?/p>

  「そうじゃないよ。」

  「あなたの神さまってどんな神さまですか。」青年は笑いながら云いました。

  「ぼくほんとうはよく知りません、けれどもそんなんでなしにほんとうのたった一人の神さまです。」

  「ほんとうの神さまはもちろんたった一人です?!?/p>

  「ああ、そんなんでなしにたったひとりのほんとうのほんとうの神さまです。」

  「だからそうじゃありませんか。わたくしはあなた方がいまにそのほんとうの神さまの前にわたくしたちとお會(huì)いになることを祈ります?!骨嗄辘悉膜膜蓼筏瘉I手を組みました。女の子もちょうどその通りにしました。みんなほんとうに別れが惜(お)しそうでその顔いろも少し青ざめて見(jiàn)えました。ジョバンニはあぶなく聲をあげて泣き出そうとしました。

  「さあもう支度はいいんですか。じきサウザンクロスですから。」

  ああそのときでした。見(jiàn)えない天の川のずうっと川下に青や橙(だいだい)やもうあらゆる光でちりばめられた十字架(じゅうじか)がまるで一本の木という風(fēng)に川の中から立ってかがやきその上には青じろい雲(yún)がまるい環(huán)(わ)になって後光のようにかかっているのでした。汽車の中がまるでざわざわしました。みんなあの北の十字のときのようにまっすぐに立ってお祈りをはじめました。あっちにもこっちにも子供が瓜(うり)に飛びついたときのようなよろこびの聲や何とも云いようない深いつつましいためいきの音ばかりきこえました。そしてだんだん十字架は窓の正面になりあの蘋果(りんご)の肉のような青じろい環(huán)の雲(yún)もゆるやかにゆるやかに繞(めぐ)っているのが見(jiàn)えました。

  「ハルレヤハルレヤ?!姑鳏毪郡韦筏撙螭胜温暏悉窑婴撙螭胜悉饯韦饯椁芜h(yuǎn)くからつめたいそらの遠(yuǎn)くからすきとおった何とも云えずさわやかなラッパの聲をききました。そしてたくさんのシグナルや電燈の燈(あかり)のなかを汽車はだんだんゆるやかになりとうとう十字架のちょうどま向いに行ってすっかりとまりました。

  「さあ、下りるんですよ?!骨嗄辘夏肖巫婴问证颏窑坤螭坤笙颏Δ纬隹冥畏饯貧iき出しました。

  「じゃさよなら。」女の子がふりかえって二人に云いました。

  「さよなら?!攻弗绁啸螗摔悉蓼毪瞧訾筏郡い韦颏长椁à婆à常─盲郡瑜Δ摔证盲臧簸嗽皮い蓼筏?。女の子はいかにもつらそうに眼(め)を大きくしても一度こっちをふりかえってそれからあとはもうだまって出て行ってしまいました。汽車の中はもう半分以上も空いてしまい俄(にわ)かにがらんとしてさびしくなり風(fēng)がいっぱいに吹(ふ)き込(こ)みました。

  そして見(jiàn)ているとみんなはつつましく列を組んであの十字架の前の天の川のなぎさにひざまずいていました。そしてその見(jiàn)えない天の川の水をわたってひとりの神々(こうごう)しい白いきものの人が手をのばしてこっちへ來(lái)るのを二人は見(jiàn)ました。けれどもそのときはもう硝子(ガラス)の呼子(よびこ)は鳴らされ汽車はうごき出しと思ううちに銀いろの霧(きり)が川下の方からすうっと流れて來(lái)てもうそっちは何も見(jiàn)えなくなりました。ただたくさんのくるみの木が葉をさんさんと光らしてその霧の中に立ち黃金(きん)の円光をもった電気栗鼠(りす)が可愛(ài)(かあい)い顔をその中からちらちらのぞいているだけでした。

  そのときすうっと霧がはれかかりました。どこかへ行く街道らしく小さな電燈の一列についた通りがありました。それはしばらく線路に沿って進(jìn)んでいました。そして二人がそのあかしの前を通って行くときはその小さな豆いろの火はちょうど挨拶(あいさつ)でもするようにぽかっと消え二人が過(guò)ぎて行くときまた點(diǎn)(つ)くのでした。

  ふりかえって見(jiàn)るとさっきの十字架はすっかり小さくなってしまいほんとうにもうそのまま胸にも吊(つる)されそうになり、さっきの女の子や青年たちがその前の白い渚(なぎさ)にまだひざまずいているのかそれともどこか方角もわからないその天上へ行ったのかぼんやりして見(jiàn)分けられませんでした。

  ジョバンニはああと深く息しました。

  「カムパネルラ、また?jī)Wたち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか百ぺん灼(や)いてもかまわない。」

  「うん。僕だってそうだ?!攻啷靴庭毳椁窝郅摔悉欷い蕸妫à胜撙溃─Δ螭扦い蓼筏俊?/p>

  「けれどもほんとうのさいわいは一體何だろう?!攻弗绁啸螗摔皮い蓼筏?。

  「僕わからない?!攻啷靴庭毳椁埭螭浃暝皮い蓼筏?。

  「僕たちしっかりやろうねえ?!攻弗绁啸螗摔丐い盲绚ば陇椁筏ちΔ瑴ィà铮─瑜Δ摔栅Δ认ⅳ颏筏胜樵皮い蓼筏?。

  「あ、あすこ石炭袋(ぶくろ)だよ。そらの孔(あな)だよ?!攻啷靴庭毳椁伽筏饯盲沥虮埽à担─堡毪瑜Δ摔筏胜樘欷未à韦窑趣趣长蛑袱丹筏蓼筏?。ジョバンニはそっちを見(jiàn)てまるでぎくっとしてしまいました。天の川の一とこに大きなまっくらな孔がどほんとあいているのです。その底がどれほど深いかその奧(おく)に何があるかいくら眼をこすってのぞいてもなんにも見(jiàn)えずただ眼がしんしんと痛むのでした。ジョバンニが云いました。

  「僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進(jìn)んで行こう?!?/p>

  「ああきっと行くよ。ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。みんな集ってるねえ。あすこがほんとうの天上なんだ。あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ?!攻啷靴庭毳椁隙恚à摔铮─朔櫎芜h(yuǎn)くに見(jiàn)えるきれいな野原を指して叫(さけ)びました。

  ジョバンニもそっちを見(jiàn)ましたけれどもそこはぼんやり白くけむっているばかりどうしてもカムパネルラが云ったように思われませんでした。何とも云えずさびしい気がしてぼんやりそっちを見(jiàn)ていましたら向うの河岸に二本の電信ばしらが丁度両方から腕(うで)を組んだように赤い腕木をつらねて立っていました。

  「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」ジョバンニが斯(こ)う云いながらふりかえって見(jiàn)ましたらそのいままでカムパネルラの座(すわ)っていた席にもうカムパネルラの形は見(jiàn)えずただ黒いびろうどばかりひかっていました。ジョバンニはまるで鉄砲丸(てっぽうだま)のように立ちあがりました。そして誰(shuí)(たれ)にも聞えないように窓の外へからだを乗り出して力いっぱいはげしく胸をうって叫びそれからもう咽喉(のど)いっぱい泣きだしました。もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。

  ジョバンニは眼をひらきました。もとの丘(おか)の草の中につかれてねむっていたのでした。胸は何だかおかしく熱(ほて)り頬(ほほ)にはつめたい涙がながれていました。

  ジョバンニはばねのようにはね起きました。町はすっかりさっきの通りに下でたくさんの燈を綴(つづ)ってはいましたがその光はなんだかさっきよりは熱したという風(fēng)でした。そしてたったいま夢(mèng)(ゆめ)であるいた天の川もやっぱりさっきの通りに白くぼんやりかかりまっ黒な南の地平線の上では殊(こと)にけむったようになってその右には蠍座(さそりざ)の赤い星がうつくしくきらめき、そらぜんたいの位置はそんなに変ってもいないようでした。

  ジョバンニは一さんに丘を走って下りました。まだ夕ごはんをたべないで待っているお母さんのことが胸いっぱいに思いだされたのです。どんどん黒い松(まつ)の林の中を通ってそれからほの白い牧場(chǎng)の柵(さく)をまわってさっきの入口から暗い牛舎の前へまた來(lái)ました。そこには誰(shuí)かがいま帰ったらしくさっきなかった一つの車が何かの樽(たる)を二つ乗っけて置いてありました。

  「今晩は、」ジョバンニは叫びました。

  「はい?!拱驻ぬい氦埭螭颏悉い咳摔工俺訾苼?lái)て立ちました。

  「何のご用ですか。」

  「今日牛乳がぼくのところへ來(lái)なかったのですが」

  「あ済みませんでした。」その人はすぐ奧へ行って一本の牛乳瓶(ぎゅうにゅうびん)をもって來(lái)てジョバンニに渡(わた)しながらまた云いました。

  「ほんとうに、済みませんでした。今日はひるすぎうっかりしてこうしの棚をあけて置いたもんですから大將早速親牛のところへ行って半分ばかり呑んでしまいましてね……」その人はわらいました。

  「そうですか。ではいただいて行きます?!?/p>

  「ええ、どうも済みませんでした?!?/p>

  「いいえ?!?/p>

  ジョバンニはまだ熱い乳の瓶を両方のてのひらで包むようにもって牧場(chǎng)の柵を出ました。

  そしてしばらく木のある町を通って大通りへ出てまたしばらく行きますとみちは十文字になってその右手の方、通りのはずれにさっきカムパネルラたちのあかりを流しに行った川へかかった大きな橋のやぐらが夜のそらにぼんやり立っていました。

  ところがその十字になった町かどや店の前に女たちが七八人ぐらいずつ集って橋の方を見(jiàn)ながら何かひそひそ談(はな)しているのです。それから橋の上にもいろいろなあかりがいっぱいなのでした。

  ジョバンニはなぜかさあっと胸が冷たくなったように思いました。そしていきなり近くの人たちへ

  「何かあったんですか。」と叫ぶようにききました。

  「こどもが水へ落ちたんですよ。」一人が云いますとその人たちは一斉(いっせい)にジョバンニの方を見(jiàn)ました。ジョバンニはまるで夢(mèng)中で橋の方へ走りました。橋の上は人でいっぱいで河が見(jiàn)えませんでした。白い服を著た巡査(じゅんさ)も出ていました。

  ジョバンニは橋の袂(たもと)から飛ぶように下の広い河原へおりました。

  その河原の水際(みずぎわ)に沿ってたくさんのあかりがせわしくのぼったり下ったりしていました。向う岸の暗いどてにも火が七つ八つうごいていました。そのまん中をもう烏瓜(からすうり)のあかりもない川が、わずかに音をたてて灰いろにしずかに流れていたのでした。

  河原のいちばん下流の方へ州(す)のようになって出たところに人の集りがくっきりまっ黒に立っていました。ジョバンニはどんどんそっちへ走りました。するとジョバンニはいきなりさっきカムパネルラといっしょだったマルソに會(huì)いました。マルソがジョバンニに走り寄ってきました。

  「ジョバンニ、カムパネルラが川へはいったよ?!?/p>

  「どうして、いつ?!?/p>

  「ザネリがね、舟の上から烏うりのあかりを水の流れる方へ押(お)してやろうとしたんだ。そのとき舟がゆれたもんだから水へ落っこったろう。するとカムパネルラがすぐ飛びこんだんだ。そしてザネリを舟の方へ押してよこした。ザネリはカトウにつかまった。けれどもあとカムパネルラが見(jiàn)えないんだ?!?/p>

  「みんな探してるんだろう?!?/p>

  「ああすぐみんな來(lái)た。カムパネルラのお父さんも來(lái)た。けれども見(jiàn)附(みつ)からないんだ。ザネリはうちへ連れられてった。」

  ジョバンニはみんなの居るそっちの方へ行きました。そこに學(xué)生たち町の人たちに囲まれて青じろい尖(とが)ったあごをしたカムパネルラのお父さんが黒い服を著てまっすぐに立って右手に持った時(shí)計(jì)をじっと見(jiàn)つめていたのです。

  みんなもじっと河を見(jiàn)ていました。誰(shuí)(たれ)も一言も物を云う人もありませんでした。ジョバンニはわくわくわくわく足がふるえました。魚(yú)をとるときのアセチレンランプがたくさんせわしく行ったり來(lái)たりして黒い川の水はちらちら小さな波をたてて流れているのが見(jiàn)えるのでした。

  下流の方は川はば一ぱい銀河が巨(おお)きく寫ってまるで水のないそのままのそらのように見(jiàn)えました。

  ジョバンニはそのカムパネルラはもうあの銀河のはずれにしかいないというような気がしてしかたなかったのです。

  けれどもみんなはまだ、どこかの波の間から、

  「ぼくずいぶん泳いだぞ?!工仍皮い胜楗啷靴庭毳椁訾苼?lái)るか或(ある)いはカムパネルラがどこかの人の知らない洲にでも著いて立っていて誰(shuí)かの來(lái)るのを待っているかというような気がして仕方ないらしいのでした。けれども俄(にわ)かにカムパネルラのお父さんがきっぱり云いました。

  「もう駄目(だめ)です。落ちてから四十五分たちましたから。」

  ジョバンニは思わずかけよって博士の前に立って、ぼくはカムパネルラの行った方を知っていますぼくはカムパネルラといっしょに歩いていたのですと云おうとしましたがもうのどがつまって何とも云えませんでした。すると博士はジョバンニが挨拶(あいさつ)に來(lái)たとでも思ったものですか、しばらくしげしげジョバンニを見(jiàn)ていましたが

  「あなたはジョバンニさんでしたね。どうも今晩はありがとう?!工榷#à皮ぃ─亭い嗽皮い蓼筏?。

  ジョバンニは何も云えずにただおじぎをしました。

  「あなたのお父さんはもう帰っていますか?!共┦郡蠄?jiān)(かた)く時(shí)計(jì)を握(にぎ)ったまままたききました。

  「いいえ?!攻弗绁啸螗摔悉工祟^をふりました。

  「どうしたのかなあ。ぼくには一昨日(おととい)大へん元?dú)荬时悚辘ⅳ盲郡螭坤?。今日あたりもう著くころなんだが。船が遅(おく)れたんだな。ジョバンニさん。あした放課後みなさんとうちへ遊びに來(lái)てくださいね?!?/p>

  そう云いながら博士はまた川下の銀河のいっぱいにうつった方へじっと眼を送りました。

  ジョバンニはもういろいろなことで胸がいっぱいでなんにも云えずに博士の前をはなれて早くお母さんに牛乳を持って行ってお父さんの帰ることを知らせようと思うともう一目散に河原を街の方へ走りました。

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