古 稀
唐の都長安、その東南のはしに曲江という池があった。池の南には芙蓉苑という宮苑もあり、風光美しく、春には花をめでる長安市民でにぎわった。この曲江のほとりで、杜甫がいくつかの詩を殘している。それは乾元元年、杜甫四十七歳のころである。
杜甫はこのころ左拾遺の官をえて、宮中に仕えていた。そして、この一年にみたない月日が、彼が中央に仕えた最初で、最後の日々でもあった。杜甫は年少にして各地を放浪し、三十半ばをすぎて長安にもどり、官途をもとめた。望みはかなわなかった。やがて、唐朝をゆるがす安祿山の亂。杜甫は霊武の行在所にいる粛宗のもとに參じようとしたが、亂軍に捕われて九ヶ月幽閉され、ついに脫出して鳳翔の行在所に赴き、功により左拾遺に任ぜられた。そして前年の冬、粛宗にしたがって都に還ったのである。だが粛宗をめぐって渦まく政治は、彼の心に憤りをさそうものであったらしい。杜甫は參內もせずに、曲江のほとりにいることもあった。……曲江のほとりに花をめでる杜甫の脳裏に行き來するものはなんだったろうか。その一首にいう。
朝より帰りて日々に春衣を典し毎日江頭に酔いを盡して帰る酒債尋常 往く処に有り人生七十 古來稀なり花を穿つキョウ蝶は深々として見え水に點する蜻テイは款々として飛ぶ風光に伝語す 共に流転しつつ暫時相い賞して相い違うこと莫からん
……日々朝廷から帰れば、春の衣を質草におき、曲江のほとりで酔いしれて、帰る。
酒手の借りなどあたりまえのこと、どうせ行く先々にあるものだが、人生はそうながくない。
昔から、七十まで生きる人は稀なのだ。
むれ咲く花をぬって飛ぶ蝶は奧ふかくも見え、トンボは水に尾をふれつつ、ゆるやかに飛びゆく。
春の風光よ、言伝えてしよう。
わしもおまえも、ともに移ろい流れるもの、この短い一時は、たがいにだいじにしあい、そむきあうことはよそうよ。……
この詩のうち最後の二行には、古來さまざまな解釈があり、また「人生七十古來稀なり」というのは、言伝えられた諺だろうともいう。だがともかく、この言葉は杜甫によってみごとに定著され、あるときは哀感をこめ、また稀な年に達したのを祝う意味にも使われるようになった。
七十歳を古稀というのも、ここから出ている。
そして杜甫は……彼にも七十は稀な歳であった。中央に仕えるのも一年たらずで、地方官に左遷され、その官もやめてふたたび各地をさまよう。甘粛省の辺境の町から谷あいの町へ、そして猿の殘したドングリで飢えをしのいだりする。やがて四川の成都でほぼ三年のあいだ、わりに幸せな日をおくるが、それも破れて、また流浪の生活がはじまる。大暦三年春、彼ははるか長安めざして、舟を揚子江にうかべ、最後の旅にのぼった。だが道はとざされ、舟は水上をさまよいつづけるばかり。大暦五年の春に、彼は舟中でうたった。……年老いた目にうつる花は霧をとおすようにかすむ。あでやかな蝶はたわむれつつ、ひっそりした舟の幔幕をよぎり、おちこちの鴎は、身もかろく早瀬をくだる。雲白く山青い萬余里のかなた、その真北にこそ長安があると、わたしは愁いつつながめる。……この冬、湘江にうかべた舟の中で杜甫は死んだ。五十九歳.だが、ながらくの流浪の困難を通じて、彼の詩はただ悲痛というのではない、ふしぎな美しさにみがきあげられ、すでに世の流転をこえるもののようであった。
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